前回の記事ではクラックの種類と原因についてお伝えしましたが、
今回は、クラックを放置した場合の影響や、クラックを防止する方法などをご紹介します。
ヘアークラックは、すぐに対処しなくても大丈夫ですが、構造クラックになると早めの対応が必要です。
ヘアークラック
構造クラック
■クラックを放置すると・・・
クラックを放置すると、建物に次のような影響を及ぼします。
・外観の見栄えが落ちる
クラックは放置すると徐々に広がり、建物の外観の見栄えが悪くなります。
美しい外観観を保ち、マンションの資産価値の維持・向上のためにも定期的に補修しましょう。
・雨水が壁の中に侵入する
クラックから雨水が壁の中に侵入すると、建物の内部の鉄筋やコンクリートを劣化させます。
特に鉄筋は雨水に長期間ふれると錆びてしまい、建物全体の強度が低下します。
また、錆びが増えると鉄自体の体積が増加して、鉄筋を覆うコンクリートを圧迫し破損につながります。
・耐震性が低下
クラックから雨水が浸入すると鉄筋やコンクリートを劣化させてしまいます。
そうなると耐震性も低下してしまいます。また建物が傾いていたり、地盤沈下したりしている場合もクラックが発生します。耐震性が低くなっている可能性があるので、早めに補修することをおすすめします。
■クラック補修の依頼先を選ぶポイント
では、クラックの補修は、どこに依頼すればいいのでしょうか。クラックの補修は安全面に関わるので信頼できる業者を選びましょう。
3社以上に相見積もりを取ることが大切です。信頼できる業者を選ぶポイントは、クラック補修の実績があり、相見積りして費用が高過ぎず安過ぎないこと、工事内容をきちんと説明してくれることです。
補修工事を行う場合は、管理会社様は住民の許可を取らなければなりません。
管理組合の会合で丁寧に説明してくれる業者を選ぶことも重要かもしれません。
■定期点検と補修でクラックを防止
クラックは、廊下の壁やエントランスまわりなど、目の届くところであれば簡単に発見できます。
しかし、屋上や地下など普段、立ち入らないところにもクラックは発生します。
こうした部分は、定期点検で見つける必要があります。
小さなクラックなら、エポキシ樹脂などによる簡単な補修で修復できますが、内部まで進行している場合は全体的に補修する必要があり、コストがかかります。
クラックを防止するためには、約10年ごとの再塗装など定期的なメンテナンスを行いましょう。
■補修にかかる費用と期間
補修にかかる費用はクラックの大きさや範囲によって、見積価格が変わってきます。
小さなクラックは1平方メートルあたり数千円~数万円程度で納まりますが、大きなクラックの場合は数十万円もかかることもあります。
また補修工事の期間は小規模の工事なら数時間で終わりますが、大きさや範囲によっては数日から数カ月かかることもあります。
■耐震診断で建物全体の診断を
クラックが進んで耐震性に不安を持っている場合は、耐震診断を依頼しましょう。
耐震診断は地震が起こった際に、どの程度の被害が想定されるかを診断するものです。
【前回の記事】外壁などに発生するひび割れ(クラック)の種類や原因