クラックとは、建物の外壁などに生じる、ひび割れのことです。
外壁の他に基礎や内壁、床、外壁材の目地にできることもあります。
今回は外壁などで見かけるクラックが発生する原因や種類について紹介します。
また、クラックを見つけたときの対処法についても紹介します。
■クラックが発生する原因
クラックは、さまざまな原因で発生します。
1)乾燥
コンクリートは、セメント、水、砂、砂利を練り混ぜてつくります。
年月が経つとコンクリート内部に含んだ水分が蒸発し、乾燥して収縮(やせ)します。
その収縮する力により、コンクリートが引っ張られてクラックが発生します。
コンクリートの中の水分は少しずつ蒸発するので、時間をかけてクラックはゆっくりと大きくなっていきます。
2)温度の変化
コンクリートは気温の変化によって、膨張と収縮を繰り返します。
しかし、鉄筋や柱によって同じ位置に固定されているので、伸び縮みができずクラックを引き起こします。
また寒冷地では、コンクリート中の水分が凍結と融解を繰り返してクラックが発生します。
3)経年劣化
コンクリートはアルカリ性です。長年、雨や紫外線にさらされると中性化が進み、内部の鉄筋に錆びを引き起こします。
鉄筋は錆びると膨張し、コンクリートを圧迫してクラックを起こします。
4)地震の揺れ
地震の揺れにコンクリートが耐えきれずにクラックが生じます。
5)施工不良
建設時にコンクリートの打ち込みが十分でなかった場合、コンクリートの層が一体化せずクラックを起こす原因になります。
そのクラックから雨水が侵入します。
■外壁のクラックの種類
外壁のクラックは、4種類あります。
1)ヘアークラック
ヘアークラックは、幅0.3ミリ・深さ4ミリ以下の小さなクラックです。
髪の毛の細さ程度のクラックであることから、ヘアークラックと呼ばれます。
主に温度変化によるコンクリートの膨張・収縮の繰り返しで発生するといわれます。
また、塗装の劣化が原因になる場合もあります。
2)構造クラック
構造クラックは、幅0.3ミリ以上・深さ4ミリ以上のクラックです。
建物の欠陥や温度変化による凍結と融解の繰り返しの他、地震や地盤沈下などが原因で発生することもあります。
構造クラックは表面だけでなく、壁の内部に達している可能性があるので注意が必要です。
3)乾燥クラック
乾燥クラックは、外壁にモルタルなどを使った時に発生するクラックです。
モルタルは水分の蒸発などにより乾燥・収縮し、クラックが発生します。構造には影響はありません。
4)縁切れクラック
縁切れクラックとは、工事の作業に問題があった時に発生します。
外壁材にモルタルを使用している場合は、一面を一回の作業で仕上げますが、
途中で作業を中断したり、やり直したりすると劣化してクラックが発生しやすくなります。
■クラックは放置していいの?
クラックを発見したときには放置してもいいのでしょうか。それとも早く修理した方がいいのでしょうか。
判断がつかず、迷ってしまいます。判断の基準はクラックの幅です。
幅0.3mm以下のヘアークラックは内部にまで水が浸透しておらず、すぐに対応はしなくても大丈夫です。
しかし、幅が0.3mm~1mmになっていると、水が浸入しやすいので早急に対処する必要があります。
1mm以上のクラックは、既に内部に水が浸透している可能性があります。早急に業者に相談した方がいいでしょう。
0.3mmのシャープペンシルの芯が奥まで入りこんだら要注意です。
■他にも、こんな現象に要注意!
・シミ
外壁に白色や茶色のシミがついていることはないでしょうか。
これはエフロレッセンスと呼ばれます。このシミはクラックから雨水が入り込んでつくものです。
エフロレッセンスを放置しておくと、内部の鉄筋が腐食し、コンクリートの強度が低下してしまいます。
シミを発見したら、早めに業者に相談しましょう。
・下地のモルタルの浮き
外壁のコンクリートの凹凸を調整するため、タイルや塗装の下地調整材としてモルタルが使われています。
モルタルにクラックが発生し水が侵入すると、モルタルが剥がれ落ちる可能性があるので補修しておきましょう。
・ひび割れ誘発目地
廊下、手すりまわり、柱の周囲、バルコニーやエントランスまわり、床コンクリートの打継部分など
コンクリートの形が変わる場所や開口部は、コンクリートが伸び縮みしやすいためクラックが発生しやすくなります。
これらの箇所には大きなクラックが発生しないように、わざとクラックを発生させる目的で目地を入れています。
これは「ひび割れ誘発目地」と呼ばれています。クラックが発生した場合でも、すぐに水が浸透しない処理をしているので安心してください。
次回は、外壁などに発生したクラックの対処方法についてお伝えします。